多くのアンパンマンファンたちからの熱い要望に応え、今年も「アンパンマンナイト試写会」を開催!6月17日(火)、本編の上映とあわせ、監督の橋本敏一さんと脚本の葛原秀治さんを招き、スペシャルトークイベントもあわせて実施しました!
6月27日(金)の公開に先駆け、一早く本編を鑑賞した直後の満員の【大人のファン】の盛大な拍手に迎えられ、橋本敏一監督と脚本を担当した葛原秀治さんがにこやかな笑顔で登場。和やかな雰囲気の中、“アンパンマンナイト・スペシャルトークイベント”がスタートしました。MCから、普段は小さなお子さんが観やすいよう、音量は小さめ&場内も明るめに設定して劇場で上映している映画「アンパンマン」において、大人たちが中心となって集まり満席となっているこの光景を目の前にした今の心境を聞かれると、橋本監督は「いつも映画館で『アンパンマン』を観るときはファミリーのみなさんに囲まれて観ていたので、今日は新鮮な気持ちです」と、いつもと違った雰囲気の会場に少し緊張した面持ちで答える一方、脚本の葛原さんは「大人の方にも楽しんで頂けるようにと書かせてもらっているので、しめしめといったところですかね(笑)。狙い通りです」と早速茶目っ気たっぷりに回答しました。
そして早速、トークは今年の映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』について。昨年公開された映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』では、ばいきんまんが大活躍する物語でしたが、本作はアンパンマンを中心にしながら、タイトルにもある“ヒーロー”という題材を描き『アンパンマンのマーチ』の一節にもある、“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”がテーマとも言える作品。そんな本作のストーリーについて、一体どこから着想を得たのか改めて問われた葛原さんは、「まず初めに、次の劇場版のメインを誰にしようかと考えた時、満を持して今年はアンパンマンでいきましょう!となり、そうなると必然的に『アンパンマンのマーチ』は外せないので、日本中の誰もが知っているであろう歌詞にある“なんのために生まれて なにをして生きるのか”というフレーズから、ストーリーを膨らませていきました。やなせ先生が作られた歌詞のおかげでスムーズに脚本は進んでいきましたね」と制作当初を振り返りました。
続いて、アンパンマンに憧れる、物語の中心となるチャポンについて、劇中ではアンパンマンを“お兄ちゃん”と呼び、本当の兄弟のような絆が芽生えていくストーリーになっていますが、「アンパンマンがお兄ちゃんになる⁉」という設定は一体どこから生まれたのかという質問について、葛原さんは「実は最初は【アンパンマン、パパになる】という仮タイトルでスタートしたんですが、今年は日本中が“やなせたかしブーム”になるだろうと感じていましたし、やなせ先生に弟さんがいらっしゃったことと、弟さんのことを書かれた著書も読んでいたので、やっぱり兄弟ものを描いたほうがよいのでは?と思い“お兄ちゃん”になりました」と制作当初に存在していたという驚きのエピソードも。橋本監督も「とてもいいテーマだと思いました」と当時を振り返りました。
また「アンパンマン」は、子どもはもちろんのこと、劇場に集まった多くのファン同様、大人に愛されている作品でもあることにも触れ、MCより「アンパンマン」を制作するうえで、大人も楽しめるために工夫していることを聞かれた葛原さんは「工夫らしい工夫は特になくて、大人も楽しめて、子どもにもわかるような話になればいいなと思っています。また、脚本は1人だけの力ではなく、チーム全員が何度も議論して練り上げていくものなので、そうすることで必然的に大人にも楽しんでもらえる内容になっていくのでは」と答え、続く橋本監督も同様に、いつもと同じように手を抜かずに作っていると語りつつ、さらには「昨年に引き続き、よーく見ると四国っぽい大陸があるんです。大人しか気づかないような小ネタを盛り込んでいるのもポイントです」とやなせ先生の故郷である高知に関連した小ネタを入れていると、ファンには嬉しいエピソードも披露しました。
さらに、アンパンマンナイトならではの作品のストーリーを深ぼる質問も。作品制作の中で意識したことやこだわった点を問われると、橋本監督は「劇中でチャポンが悩んでいるときに、アンパンマンに元気づけてもらうシーンでアンパンマンに声をかけてもらう台詞を足してもらいました」と監督自身の想いが込められたシーンを明かしてくれました。葛原さんは「観ている方が感情移入しやすく誰もが寄り添えるように、とにかくチャポンをいたって普通の男の子にしよう、と意識しました。だからこそ、チャポンに隠された出生の秘密を知ってしまうシーンではより心に迫るものがあるように思います」と本作の大事なテーマに対するこだわりが垣間見える場面も。
そして大人はもちろんのこと、子どもたちにもこの作品からどんなメッセージを受け取ってほしいのかと問われると、橋本監督は「やなせ先生がおっしゃっていた、〈人生の最大の喜びは人を喜ばせること〉〈周囲に困った人がいれば手を差し伸べる愛と献身こそ正義〉、という2つの想いが込められたキャラクターがアンパンマンだと思うので、そのメッセージを込めて丁寧に描きました」と語り、葛原さんも「僕が一番好きなのは、『アンパンマンたいそう』の歌詞の一文である「もし自信をなくして くじけそうになったら いいことだけ いいことだけ 思いだせ」で、人生って嬉しいことより辛いことのほうが多いんですよね。でもチャポンも劇中で、誰かを笑顔にしたことがある、というたった一つの嬉しい思い出だけで本当に辛い事実から立ち直れたので、そこが一番伝えたいメッセージですね」とコメントしました。
そして締めのメッセージでは、橋本監督から「アンパンマンナイトだからこその音量で楽しめる音響効果にも是非注目して、また足を運んで欲しいです」と投げかけ、葛原さんも続いて「音が果たす映画の役割ってすごく重要なので、だからこそまた2回目、3回目と是非足を運んでほしいですね。お子さんと観られる通常上映も、少し場内が明るいことでお子さんたちの表情がみられるのがとても嬉しいので、どちらも堪能して欲しいです!」と締め括り、“アンパンマンナイト”を存分にアピールし、大盛り上がりの内にトークイベントは幕を閉じました。
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